さてさて。今日は、素敵な食後酒第3弾です
。
Dillon 社の ラム・アグリコールです!
10年以上の熟成を経た、マルティニーク島のものです。
ちなみに、マグナムボトルです
。
ラムとは、西インド諸島原産の蒸留酒で
さとうきびに含まれる糖を、発酵、蒸留して造られます。
造り方の違いで、2種類のラムに分けられまして
1つが『インダストリアム ラム』と呼ばれる工業ラムと、
もう1つが『アグリコール ラム』と呼ばれる農業ラムになります。
『インダストリアム ラム』は
さとうきびの搾り汁から、砂糖を取った後に残る廃糖蜜を、発酵させてできた醸造酒を蒸留し、
エタノールの濃度を高めてから、熟成させて造られるものです。
それに対して『アグリコール ラム』とは
さとうきびの搾り汁を、そのまま発酵させてできた醸造酒を蒸留し、
エタノールの濃度を高めてから、熟成させたものです。
アグリコール ラムは、ラムの全体量の5%くらいだとか、10%くらいと言われておりますが
搾りカスの糖から造ったインダストリアム ラムと比べると
複雑で、奥深い味わいです。
香りは、とても繊細です
。
武骨な The ラム!!みたいなベタな香りではありません。
ラムらしい、きびの香りはもちろんありまして、
でも、ウィスキーのモルトっぽい香りのラムとも違いまして
ブランデーっぽい雰囲気のラムです
。
このラムの産地、マルティニーク島とは
フランスの海外県のひとつで、カリブ海に浮かぶ島です。
海外県。。。しかもカリブ。。。
フランスが武器で勝ち取ったさとうきびなわけです。
自国にはない、南の豊かさを手に入れるため、現地の人を虐殺し
アフリカから奴隷を連れてきて、そして経済的にも豊かになったわけです。
これが歴史の授業で習った、三角貿易っていうのでしょうか。
1950~60年代、フランス植民地の独立が進んだとき、
もちろん、マルティニークも自治を求めたけれども、フランスにとって
『海上の小さな塵』にすぎなかったマルティニークに自治は認められず
同化されるべき海外県の扱いから、脱することはできなかったようである。
永井シェフが自身の本で、カカオについて同じことを言っていましたが
ただラム1つとってみても、多くの人々の思いや、哀しい歴史があったりする。。
ここはリュタンのお店ブログですので
ポジティブで楽しいことだけを書いていた方が良いのかもしれないけれども
そういったことを知っていること。
また、そういったことを知った上で、ラムをたしなむということは
人を、より深みのある人間にする、と思っている。
コロンブスに、『世界で一番美しい島』と言わしめたマルティニーク。
ほんとにキレイ。