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プティ リュタン ブログ

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ピュリニーの至宝

先日。
ルフレーヴが大好き❤というお客様にオーダー頂いた、ルフレーヴ マコン ヴェルゼ09。
あけてみるに、ルフレーヴらしさがあまり感じられない。。
シャープでクリーンネス。そして清楚でありながら、実に豊かな味わいのルフレーヴなはずなのに
香り、味わい共に『らしさ』が弱い。
でも決して、味がおかしいというわけではないし
これが5本買った最後の一本ということもあり、そのままテイスティングして頂いた。

が。

『なんか、思ってたのと違う。』
そう言われ、やっぱりそうですよね。と謝るしかなかった。
美味しいワインではある。が、ルフレーヴではない。
代わりにもう一本開けたいところだが、もうない。
ルフレーヴを楽しみにされていたお客様は、元気をなくされてしまった。

そのとき、リュタンのセラーにある他のルフレーヴのワインは、ただ一本。
バタールモンラッシェ96。
リュタンを開店する際に、永井が9年前に仕入れたワインである。

悲しませたお詫びに、このワインを私からと、おだしした。

偉大なるルフレーヴの特級畑。しかも96。
正規輸入元から、とある人を経てリュタンにきたこのワインの出どころは確か。
保存状態に問題さえなければ、素晴らしいものが約束されている。

抜栓してすぐ思った。これは素晴らしい!と023.gif

開けた瞬間から、香りがボトルの周りにぼたぼた~!と落ちているように感じられるくらい
華やかな香りが広がったのである。
香りがぼたぼた落ちる、なんて表現は下品だと自分でも思うが
そんな風に思ってしまうような、厚みのある香りなのだ。
『香りが強い』と言ってしまうと、『香水の香りが強い』のような
『行き過ぎた香り』というようなニュアンスが入るように感じられるので
ここではやはり、厚みのある香り、と言いたい。

味わいは、ルフレーヴそのもの。
グレープフルーツの蜂蜜がけのようなほの苦い甘酸っぱさ。
それでいて、キリリ!としたミネラル感。
なのに!ドライアプリコットのような豪華な濃縮感も感じられる。。
そして後から、木樽熟成による、バニラのようなナッツのような香りが鼻をくすぐる。
ドライなのに、コクのある厚みがある。
相反するような要素があるのに、決してバラバラに感じられるのではなく
一つの味としてまとめ上げられていて、なおかつクリアーで滑らかなのである。。
ルフレーヴ、さすがである。。
バタールモンラッシェとして、これが完璧な状態なのではないだろうか、と思ってしまうほどであった。

お客様がご機嫌を直されたのは、言うまでもない。
『生きてるうちに、こんなワインをまた飲めるとは思わなかった。
 ほんとうにありがとう!』と、とても喜んでくれ、
私からのワインのつもりだったが、そんなことされるともうここに来れなくなるからダメ!と
お支払いをして頂いたうえに、一緒に飲ませていただいた。

この日のワインは、バタール モンラッシェだったが
小説家のアレクサンドル・ドュマが、ル モンラッシェについて
『このワインの前では、頭を下げて
 膝まづいてでしか、味わうことができない』と残したことを思いださせるワインだった。

そのお客様の連れの方が、「今まで飲んだワインで、とっても美味しかったワインのお話をして」、
とおっしゃるので、これこれこうで~と、飲みながらのぽやんとした頭で話していたら
「昔の恋人のこと話してるみたい」と笑っておられた。
舞台で活躍する女優の彼女は、初めてシャンパーニュを飲んだ時のステキな話をしてくれた。

素晴らしいワインの前では、みんな饒舌になる。
でもその合間。ワインにも耳を傾けてほしい。
思わず黙ってしまうほど、たくさんのことを語りかけてくれるから023.gif

ピュリニーの至宝_e0210422_17515136.jpg
本当にステキな夜だった。
by fukky8211 | 2012-04-11 17:25 | ワイン